『人間・廃業』は連続フェラチオ抜きを筆頭に、10人近く用意された男優人と連続本番をやるSEXトライアスロンである。

 ドラマ物では定評のある長谷川九仁広監督が思い切って本番王道ハードコア路線を追及した作品である。
V&Rプランニングの『ジーザス栗と栗鼠スーパースターSP』とも比較されるが、『ジーザス』30時間もかけてジワジワと女優苛めをするのに比べると『人間・廃業』は一気にスパークするような撮影を信条としている。
観月マリ主演の1本目は大ヒットとなり、その後も愛田るか、麻生早苗川浜なつみなど淫乱系実力派AVギャルのメモリアル作品的な意味合いを持つシリーズとなる。
対処的に『ジーザス』にはアナクロい感想が付き纏うようになり、徐々にリリースも少なくなっていった。
過酷とも思えるSEX地獄の中でも、観月マリの持つ天真爛漫としたキャラクターが光り輝いた。名シリーズとは、その1本目に出演したモデルの力量によって誕生するのである。

『人間・廃業』以降の観月マリには、どこかスコーンと突き抜けたようなイメージを感じた。

 『ザ・リアルGOLD』という作品は斉藤修監督の100本記念でもあり、名シリーズ『リアル』を復活させる功績を持った。
通算22本目に当たる『女尻』が観月マリの引退作となる。
タイトル通り、お尻をテーマにしたハードコア作品で、このシリーズも『裏女尻』などを含めるとアリスJAPANの顔とも呼べるシリーズになっている。
引退後はソープ嬢になったらしいという噂も聞いたが真偽のほどは確かではない。
知り合いの店舗に頼まれて風俗誌の撮影に駆り出されただけという説もある。
つくづく、観月マリとはAVギャルに向いているコだと思う。
才能と言っては、おかしいかもしれないが、観月マリにとっても自分を一番輝かせることが出来たのはAVの画面上だったはずだ。意識せずに見せるセックスが出来た類い稀な才能だった。

TEXT BY 文鳥ヨシト