90年、夏。筆者は驚くべき美人のデビュー作のパッケージをミリオン出版『さくらんぼ通信』編集部で手にした。

 『大和撫子タマの腰』というタイトルで、ボディコン姿の美女がこちらを微笑んでいた。
 当時は桜樹ルイがダイヤモンド映像へと電撃移籍をしたばかり、こちらの方の話題がAV界の中心になっていた。
 となりにいた同業ライターのSが「ほう…。いい女じゃないの」と、さほど興味もなさそうにいった。
 筆者の本音としては「どうせなら桜樹が見たかったな」と思ったものの、この卑弥呼なる謎の美女にも興味はあった。
 そう。デビュー当時の卑弥呼は謎の美女だったのである。
 正確なプロフィールを発表したのはデビュー作リリースから数ヵ月先だったし、卑弥呼という歴史上の女帝の名を抱くAVギャルがデビューしたんだな、という確認をしただけだった。
 最近、知ったのだが、実は当時の卑弥呼はパブリシティNGで、ビデオ専門誌でしか紹介されなかったらしい。