この話を聞きながら、ふと空を見ると、さっきまであったガスがスーッと抜けて、凄い量の星が空一面を埋め尽くしていた。天の川までがくっきりと見えた。その時誰かが叫んだ。「飛んだ !!」。流れ星である。もうそれからは、飛びっぱなしである。一時間に約60個の流れ星が降ってくる。 山の中で、暗闇に目が慣れてくると、ちょっとした光が気になってくる。近くにある道の電灯一本が、じゃまになるのである。「あれがなければ、もっと星が見えるのに」と思わずつぶやいた。K氏がそれに続けて「あの東の方の空がボワァーっと明るいのがわかりますか。あれは、何の光だとおもいますか?」といった。たしかに、東の空だけボワァーっと明るく、そこだけ、星の見える量が極端に少ないのである。「あれ東京なんですよ。東京のネオンがああやって一晩中光っているんです。 20年前は、真っ暗だったんですが、だんだん明るくなってきています。夜の明るさは、植物達にとっても、ものすごいストレスになるんです。あの光をなんとかしないと・・・」。 普段生活している東京でなにげなくみていたネオンが、こんなにも遠く離れた所に害をもたらしていたことにとてもショックをうけた。こんなステキな星空がみられなくなっているなんて。やはり、経済の発展だけを考え、便利さのみを優先し続けた我々の文明の折り返し点が、近づいて来ている気がする。 深夜2時過ぎには、仕事を終えた中野裕之氏も駆けつけ、みんなで意識を宇宙へ飛ばし、『流れ星の降る夜』を楽しんだ。