Trance Mix Diary

Hiro Sugiyama

第一回『流れ星の降る日』

  8月12日、待ちにまった『流れ星の降る日』である。テイ・トウワ氏ら4人と、車 で長野県佐久町へ向った。佐久町には20年間、雨の日以外の毎晩、の観測をしているK氏がいるのである。K氏は過去に 彗星を3つも発見した、彗星探索家である。彼の頭の中には、日本から見える星の位置がすべて入っていると言う。「それができなければ、彗星や新しいなんて見っけられませんよ」とK氏。  車 が佐久町に着いたのが、夕方5時半。温泉へ入り、夕食を食べ、K氏とホテルのロビーで待ち合わせをした。K氏の風貌は村上龍をちょっと太らせたという感じ。いつもニコニコした、人当たりの良い人である。ボクと、テイくんは、K氏との2度目の対面。3月に一度、映像作家の中野裕之氏と3人で、K氏の所にを見に来たのである。あの百武彗星が、地球に大接近した時だ。

 佐久町から車 で1時間ほど、標高1800m地点まで登った。途中、山特有のガスにおおわれ、みんな不安に陥った。「このまま、晴れずにが見えないんじゃないの・・・」。9時すぎ、K氏が毎晩おとずれている観測地点に到着。そこにはすでに、『流れ星の降る日』を見ようと、地元のアマチュア天文家など、20〜30人が集まっていた。『流れ星の降る日』は毎年8月11〜12日ごろで、地球の軌道が彗星群の中を通過するため、流れが降るのだそうだ。  到着して一時間がたったが、いっこうにガスは晴れず、流れどころか1つ見えない状態で、一同に不安がよぎる。K氏の入れてくれたコーヒーを飲みながら、我々はもう一つの目的のK氏の話しを聞く事にした。

第2部へ続く