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ほとんどの時間は、目も口も手も足も拘束されてゴロンと芋虫みたいに転がってるだけ。
キーンと冷蔵庫だかコンピュータだかの機械音がする。外からブーンとバイクが通る音がするけれど、あまり車通りは多くはない。
上の方からガタガタと椅子のようなものを引く物音がたまにするけれど、ここはとても静かだ。
どこなんだろう?
ここに関して私が知ってるのは、このくらい。
ほとんどの時間は、目も口も手も足も拘束されてゴロンと芋虫みたいに転がってるだけ。
バタンッ
あの人が入ってきた。
ごそごそ。ぱちん。『・・・ました。本日13日未明、神奈川県川崎市の路上で――』
テレビから女の声でニュースを伝える音がする。そうか、今日でもう5日間経ったんだ。
仕事関係で、2度程顔を合わせたことのある顔見知りの男がいた。
特に強い印象は残ってない、ごく普通の30代前半だったように思う。
それがなんでこんなことになっちゃったんだろう・・・。
がさがさっ、くちゃくちゃ、ぽりん。
ごそ、ごくごくごく…
ふぅ、ふぅ。
芋虫みたいな私のお尻に、生温かい感触。パンツの中に手が伸びてきた。
男はいつもテレビをつけながらぐにぐにと触る。ぐにぐにぐに。
これでも初めは抵抗した。でも危害を加えるつもりがないことがなんとなく分かると諦めた。
ゴロンと横にされたまま、しつこくねちっこく触られると、意識とは無関係に熱くなってしまうカラダにどうしようもなく恥ずかしくなる。
猿轡を通して湿った息が、もれる。
激しく指がうごめくと、足首から腿にかけてある縄がきしみ、ぎりぎりと肌に喰い込んでく。いやらしい音が聞こえてきた。
しばらくして、じんじんと熱くなっている私のパンツの中から、生温かい感触だけが消える。
残された私のカラダの一部は、もう私のカラダじゃないみたいだ。
自由のきかないカラダ。意識すらも、縄で拘束されているカラダみたいに、だんだんと朦朧としてくる。なんでだろう?
諦めた途端、どこかで男のことを期待している自分に気が付いた。
これまでの仕事、家庭、恋人、どこにいってもがんばってきた私。そして辱められている私。
芋虫のように扱われることの抵抗はあったけれど、堕ちて朦朧とした意識には、モワンとぬるくて甘い被虐的な快感がべろっとまとわり付いていた。
ああ、もう何も考えられない。ただただ、男の感触と、快楽があるだけ。 |
☆もも 小春 プロフィール☆ |
AV監督 1979年7月7日生まれ 女 かに座 B型
美大卒業後、写真作品を制作しながら、いろんなアルバイトを経るうちに、SMと出逢う。 ただのセックスよりも、縛られたりすると興奮するマゾ。自分自身が縛られている、見られている、触れられている、恥ずかしいと思う……。そういうM女的視点からエロティックなAVを目指ざし修行中。 |
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