伊織……叶　　麗華
唯　……京徳ゆりこ
憲兵……上杉　久美
道子……菊池のり子
杏　……橋本　杏子
女王……秋本ちえみ
詩麻……志方いつみ
侍従……秋山　未来
憲兵２…松田　知美
ほか

監督……細山　智明
脚本……秋山　未来
　　　　松岡　錠司
　　　　鴎　　街人
撮影……志賀　葉一
照明……金沢　正夫
編集……金子　尚樹
録音…ニューメグロスタジオ
助監督…鬼頭　理三
現像………東映化学
スチール…田中欣一

　男性社会に嫌気がさした伊識と詩麻は二人だけの世界を求めて旅に出るが、森の中で道に迷ってしまう。やがて着いたのは両性具有者の女王とその女王に支配されている女たちが住むパラレルワールドだった。女王の酔狂で繰り広げられるオナニー大会や乱交レズ。その中で女王の目に止まったものがその夜の慰みものになるのだ。そんなある日、女王の目が伊織に向けられて…。
　これは「お天気お姉さん」で有名な細山智明監督が、ペニス社会への反乱を企図しながらも実際には何も変わらない、現代に生きる女たちの姿を詩的かつ風刺的に描いた作品。個性派のビデオギャルを中心に大量の女たちだけで演じられた異色中の異色ピンク映画である。


　高校の同級生である伊織と詩麻はお互いに愛し合う関係にあり、卒業したら一緒に暮らす夢を持っていた。だが関係が親にバレ、無理やり引き裂かれるとそれぞれの結婚相手まで決められてしまう。覚悟を決めた二人は心中しようと、都会の喧騒を離れて山奥に逃げ込んだ。
　森の中でかなづち、包丁、拳銃等を広げ、どうしたら楽に死ねるか思案する伊織と詩麻の前に奇妙なキノコの入った籠を提げた杏が現れる。拳銃を手にした杏は銃口を二人に向けると自殺の手助けをしようとするが、臆した二人は死ぬのを諦め、杏の後について彼女の家へ行く。
　食事を済ませ、二人に家出の理由を聞く杏の元に憲兵服姿の女がやってきて宮殿に集合するよう伝える。その異常な様子に伊織と詩麻は早々と杏の家を退散し、二人で一緒に住める場所を探しに行く。しかし歩けど歩けど同じ場所へ。不安になった伊織と詩麻の前になぜか突然現われる杏。実はその世界はパラレルワールで、両性具有者の女王の超能力によって支配される異次元の世界だったのだ。
　川のせせらぎの中に佇む憲兵�Aと道子。二人は恋人同志である。だが支配者の女王に見初められた道子は命令に逆らえず、女王の一夜の慰み者にならなければならない。悲しみに打ちひしがれる二人。いつしか道子は憲兵�Aの胸に身体を預け身を任せていく。
　いかにもダサくてエゲツない装飾が施された宮殿では十数人の女たちが思い思いに話をしている。みんなそれぞれの理由があり、迷い込んだ女たちである。
　憲兵の笛の音とともに登場する女王。女王の気紛れで集団オナニー大全が命令される。憲兵�Aの笛の音で女たちは思い思いの恰好で仕方無くオナニーを始める。伊織と詩麻はどうしていいか分からず立ったままでいるが、杏の言葉に慌ててオナニーを始める。宮殿は異様な熱 気に包まれ、女たちは次々と絶項を迎えて行く。
　深夜、杏の部屋では伊藤と詩麻、それに杏の恋人の唯が疲れた様子で女王に対する愚痴を並べている。唯も女王の気紛れで呼び出されてペニスを無理やり突っ込まれた経験を持っていて、誰も表だって抵抗出来ないでいるのだ。 　女王の部屋では看護婦の白衣を着た道子が憲兵�Aの顔色を伺いながら入って行く。上機嫌の女王は白衣姿の道子を見るや自分のペニスを衝えさせ、ほど良く濡らしたところで道子の股問に挿入する。耐える道子。心の中には憲兵�Aの心配そうな顔が。
　一方、宮殿では憲兵が憲兵�Aの全身を愛撫しているところであった。憲兵�Aと女王の関係を知った憲兵は女王へ告げ口しないかわりに憲兵�Aの身体をもてあそんでいるのだ。憲兵�Aの白い胸に垂らされる蝋燭。憲兵�Aは女王への恐怖心のため憲兵の言いなりのまま身を任せるのだった。
　伊織と詩麻、杏と唯の平穏な日々。だが幸せな日々は続かない。女王の慰み者になるよう詩麻に命令が下る。泣き続ける伊織。どうしてやることもできず諦めて見ている杏と唯。その夜、杏と唯の寝ている間に伊織は詩麻を助けに宮殿に乗り込む。 　女王に犯された道子の身体を優しくいたわる憲兵�Aの指。股間を濡らしながら応える道子。その耳に憲兵�Aの「別れてくれ」の言葉が……。白分の保身を図る憲兵�Aに道子は愕然となる。
　女王の歓喜の声の元、縛られた伊織と詩麻が女王のペニスで交互に犯されている。女王に逆らった罰として明日は女たちの目の前で処刑されるのだ。
　憲兵の「今夜、全員集合するのだ。面白いものを見せてやるぞ」という声に目覚めた杏と唯は詩麻の姿が見えないので事の次第を知る。詩麻の鞄を手に取る杏。中を開けると拳銃やかなづちを取り出して点検する。どうせこの世界を出られないのなら嫌な女王の顔など見たくないと心に決めたのだ。
　川原では道子の涙声とともに重い石を何度も持ち上げる影が。恐怖心に覆われた気まずい雰囲気の中、引きずり出される伊織と詩麻。女たちの前で処刑されようとするが、飛び込んで来た杏が拳銃を女王の顔面に突きつけ阻止する。憲兵�Aが杏の隙を見て襲いかかろうとするが、道子の持った石で頭を殴られ気絶する。状況を敏感に感じた侍従の裏切りでパラレルワールドの原因は女王のペニスにあると聞いた女たちは一斉にペニスに集まりそれを引っこ抜く。悶絶する女王。女たちに自由で解放された時問が訪れる。しかし誰もこの世界から逃れようとしない。絡み合う女たち。この時が永遠と続くかのようにお互いを愛し続けるのだった。