工藤昌弘……田　中　要　次
中田沙織……奈　賀　毬　子
和　　美……佐　倉　　　萌
陽　　子……風　間　今日子
竹　　本……け　―　す　け
木　　島……隆　西　　　凌
田　　中……山　科　　　薫
美 容 師……草　野　陽　花
孝……………成　尾　文　敏
運転手Ａ……久　保　新　二

監　督………新　里　猛　作
企　画………福　俵　　　満
脚　本………大河原　ちさと
撮　影………中　尾　正　人
編　集………酒　井　正　次
助監督………石　川　次　郎
録　音………シネ・キャビン
現　像………東映ラボテック
スチール……佐　藤　初太郎

リストラでタクシー運転手に転身した昌弘。恋人の和美からも半ば見捨てられ、頭痛薬を飲みながらのドライバー生活だが、ひょんなことから体を売って稼ぐ女子高生沙織と知り合う。そんな中、偶然拳銃を手にした昌弘は…。
新鋭新里猛作監督が、リストラの末にタクシードライバーに転職し、ふとしたことから苛立ちを爆発させる男と彼をめぐる女たちの関係を鋭いタッチで描く。物語に女子高生の売春やヤクザの抗争を絡めたエンタテイメント・ポルノ。
工藤昌弘は、リストラで会社を解雇され、恋人の和美にも愛想を尽かされ、タクシー運転手の仕事に就いた。だが客には馬鹿にされ、一日のノルマもなかなか達成できない毎日だった。
深夜に繁華街を走らせていると、女子高生の沙織が車に飛び込んできた。彼女を追ってきたポン引きの木島の姿がリアウインドウ越しに遠ざかっていった。このまま海にでも行ってとはしゃぐ沙織をよそに、昌弘は彼女が金を持っているのかが心配しだった。ノルマの話を聞いた沙織は彼のために一肌脱ぐことをにした。
沙織は酔っ払った中年男・田中を車に引き入れるといきなりそのイチモツをくわえこみ、自宅近くで大声を出してやる脅した。田中はびっくりして彼女に金を渡すとあわてて家に逃げ込んだ。沙織はこの調子でお金を貯めて海外にでも行こうと言うが、昌弘は彼女の遊びには付き合ってられないと、車を降りるよう命じた。だが、「誰も私のことを必要としてくれない。私の場所なんてない…」と言う沙織の言葉に、昌弘の心も開きはじめた。
翌日。タクシーを流していた昌弘は急に思い立って和美の部屋を訪れた。なんと和美は自称カリスマ美容師の男とセックスの真っ最中だった。その夜、休憩中の昌弘の車に銃を手にした竹本というが男が強引に乗りこんできた。赤又組組員の竹本は、組長を撃たれた仇を取るので抗争相手の黒鷹組事務所に連れて行けと昌弘にすごんだ。車を降りた竹本は殺気立った目つきで事務所に向かっていった。しかしボケットにあるはずの拳銃がなくなっていた。竹本は手で拳銃の形を作ってごまかすと、次の瞬間には一目散に走って逃げた。仕事が終わった昌弘は車内に転がっていた拳銃を見つけ、おそるおそる家に持ち帰った。
翌日。昌弘は街中で沙織と木島の姿を見かけ、二人の後を追った。沙織に売春を強要する木島を見て昌弘は止めに入るが、あっさりと殴り倒されてしまった。その夜。昌弘は車内でセックスを始めた孝と陽子のカップルの横暴ぶりにぶち切れ、ピストルを取り出すと銃口を孝に向けた。孝は慌てて車から飛び出した。昌弘は腰を抜かした陽子に降りさせようとするが、露になった太股や尻に欲情し、その場で彼女と交わった。
その頃、沙織は体を売った金を木島に渡すと、「私のこと好きなら抱いて」とせがんだ。しかし木島にとって沙織は都合のいい金づるに過ぎなかった。銃を手にしたことで暴力的な衝動に火がついた昌弘は、無謀にも黒鷹組を襲撃することを思いついた。ところが彼が組の近くで機会をうかがっていると竹本が現れ、銃を取り戻そうとしたので揉みあいになった。はずみで昌弘はピストルの引き金を引いてしまい、銃弾は組長の頭を貫いた。組員たちは竹本の仕業と思い、彼にむけていっせいに銃弾を放った。昌弘が呆気に取られていると、ホテルから沙織と木島が現れた。昌弘と沙織の目が合った。死にかかった竹本が撃った弾がべランダの鉢植えに当たり、それが木島の頭に落ちて彼は昏倒した。昌弘は沙織の手を取り走り出そうとした。だが沙織は木島にすがりついて離れようとしなかった。パトカーのサイレンが鳴りひびき、昌弘は一人その場を離れた。
数日後。何事もなかったかのように昌弘はタクシーを走らせていた。深夜にアパートに帰ると、沙織が姿を現した。二人は激しくおたがいを求め合った。翌日。タクシーに和美が乗ってきた。彼女は自称カリスマ美容師に騙され、有り金を逃げされたのだった。彼女はもう一度昌弘とやり直したいようだった。昌弘は彼女を家まで送り届けると無言のままタクシーを発車させるのだった。