野沢俊介……下　元　史　朗
野沢亜紀子…大　沢　裕　子
佐伯恭司……池　島　ゆたか
佐伯悦子……秋　本　ちえみ
立花梨沙……千　秋　まこと

監　督………片　岡　修　二
企　画………伊　能　　　竜
脚　本………片　岡　修　二
撮　影………下　元　　　哲
録　音………銀　座サウンド
編　集………酒　井　正　次
助監督………カサイ　雅　弘

片岡修二が自作の脚本を演出したこの作品は、スワッピングを機会に知り合った一組の夫婦の偶然から起こった殺人を追うミステリックな型破りの欲情編。

　マンンョンの一室で人妻が殺された。殺されたのはその部屋に住んでいた佐伯悦子である。刑事の野沢が知らせを受けて現場に行ったときは鑑識課員の検死が始まっていた。野沢は偶然このマンションに住んでいる。しかも、殺された悦子を知っている。悦子の夫佐伯が警察に呼ばれて、野沢が事情聴取をすることになった。佐伯は野沢が刑事であることを初めて知った。
　野沢が佐伯夫妻と合ったのは今からニカ月前だった。彼は妻の亜紀子と話し合って、立 花梨花という女が経営しているスワッピングクラブを訪れた。野沢は刑事という職業柄から普通の女遊びは控えているが、性欲は人一倍激しいのでこの方法を考えたのだ。梨沙に案内されて一室に入ると、すでに一組の夫婦が待っていた。それが佐伯夫妻だったが、ここでは互いに仮名で紹介された。佐伯夫妻はヨシダ、野沢夫妻はスズキと呼ばれた。佐伯はここを利用するのは三度目だといっていた。夫婦は互いに相手を変えて愛撫をはしめた。亜紀子は夫のために心を決めて来たものの、初めての経験にたじろいでいたが、悦子は積極的に野沢に挑んだ。その様子を見ていた梨沙は、耐えられずにオナューにおぼれた。　その悦子が何者かに殺され、野沢は彼女の夫から事情を聞いている。佐伯の態度はふてぶてしかった。事件のあった目のアリバイも友人と映画を新宿で見ていたと答えたが、映画の題名は忘れたし友人の名前は言えないと言うので、野沢は不快そうに続きは明日にすると告げた。帰宅した野沢は妻に悦子が誰かに殺されたと知らせた。野沢は佐伯に会ったのは二ヵ月ぶりだが、実は悦子とはスワッピング後、偶然道で会っていた。そしてスナックで酒を飲んでからホテルヘ行った。スワッピングの後だったので互に抵抗感はなかった。
　それを佐伯は知っていただろうか。もし知っていたら、妻の浮気を知り逆上して殺してしまったのか……。いや、妻を殺すような人間がスワッブングをするはずがない。野沢はその夜、もう寝息を立てている亜紀子を見ながら事情を考えて眠れなかった。翌日、野沢はまた佐伯の事情聴取をした。佐伯は前日は妻が殺された日は映画を見にいっていたと言っていたが、実はホテルで女とビデオを見ていたのだと告白した。しかし女の名前を言おうとはしなかった。だが、野沢に煙草をねだって一服しながら何か含むところがあるような話をしていたが、ついにホテルで一緒にいたのは野沢の妻亜紀子だったと答えた。野沢は激しいショックを受けた。佐伯はアリバイが証明されたので帰っていった。事件は振り出しに戻った。悦子を殺したのは誰か？　野沢は、妻の亜紀子に佐伯とホテルで寝たのが事実なのか尋ねた。彼女はスワッピングで一度抱かれているので、野沢には責めるつもりはなかった。佐伯のアリバイを確かめるためである。だから、野沢もあの後悦子に逢ってホテルで抱いたことを告白した。それを聞いて亜紀子は驚くと思ったが、意外にも彼女は夫と悦子との情事を知っていた。
　その日、亜紀子は偶然街で悦子に逢って、部屋に誘われた。悦子はスワッピングしてから野沢の体にひかれている、と言ってまた梨沙の秘密クラブヘ行こうと囁いた。だが亜紀子が断わると、悦子は野沢とホテルで寝たことを告白した。スワッピングはしたが夫を最も愛している亜紀子は逆上し、テーブルにあった果物ナイフで刺してしまった。そこへ佐伯が帰ってきた。佐伯は悦子にも飽きていたのだと言い、亜紀子を抱いた。亜紙子は彼が肋けてやるという言葉を信じて体をまかせた。悦子を殺したのは、意外にも妻の亜紀子だった。信じられないことだった。皮肉なことにスワッピングをした二組の夫婦が、その後も体の関係をもった。しかも、それが殺人事件にまで発展しているのだ。野沢は茫然と、寝室の鏡の前に立って自分の姿を見つめていた。後ろに亜紀子が来るのが鏡に写った。その手にはナイフが光っている。野沢はハッとして振り返った。
　亜紀子は自分の首にナイフを深く突き刺すと、崩れるように倒れ伏した――。