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依 子……里 見 瑤 子
冬 子……平 沢 里奈子
葵…………藍 山 みなみ
奈 緒……華 沢 レモン
男…………なかみつせいじ

監 督……深 町   章
企 画……福 俵   満
脚 本…かわさきひろゆき
撮 影……清 水 正 二
編 集……酒 井 正 次
録 音……シネ・キャビン
助監督……佐 藤   吏
スチール…津 田 一 郎
現 像……東映ラボテック

蜜のような甘い声で男を惹きつけて破滅させ死に導くというセイレーン(人魚)の伝説をモチーフに、とある男性作家と性欲にあふれた四人の女たちとの濃厚な情事をベテラン深町章監督がエロスたっぷりに描き出したエロス編

 男はひとりの女を捜していた。真っ暗な海に棲むセイレーンのように、蜜のような甘い声で男を惹きつけ、男を破滅させ死へと導いてくれるその女を。昔、漁師たちが漁へ出て霧にまかれた時、女のか細い歌声がどこからともなく聞こえてきた。それを聞いた漁師たちは海の魔物と思い霧で視界がきかない中必死で岸を目指した。だが、たどり着いたのはたった一艘だけだった。助かった漁師も正気を失い、奇妙な旋律の歌を口ずさんでは、海には女の化け物がいると口走った。それが海の妖精セイレーンと呼ばれるようになった。セイレーンは気に入った男を海に招き入れ、その命を糧に永遠に生き続けるのだった。
 黒い服を着た依子が海辺にやって来た。手には亡くなったばかりの夫の骨壺を抱いていた。突然、土手の奥から女の怒声が聞こえてきた。その女冬子は今や落ち目の女優だった。携帯を手に、自分は女優なのだからそんな仕事は出来ないと、大きな声をあげていた。電話を切ると依子に気づいた。依子は目配せで挨拶をし、何故夫の通夜に来なかったのかと尋ねた。冬子はかつて依子の夫と関係があった。依子が何故ここへ来たのかと問うと、冬子は依子の夫が書いた小説「セイレーンの歌声」を取り出した。そこには、もし自分が先に死んだら、君と出会った神島の見える岩場から灰になった体を海に流して欲しい、そうすればふたりの魂は離れようもなく永遠に海をさまようのだという文章があった。冬子はその言葉に導かれ、ここへ来たのだと話し、かつて彼と愛しあった光景を回想した。
 依子は冬子に彼に振り回されっぱなしでいいのかと言った。すると、彼の秘書をしていた葵が現れた。葵は最後の仕事として冬子を迎えに来たのだと告げた。実は葵も彼と愛人関係にあった。冬子が彼の最後の愛人がこんな冴えない女だったのかと皮肉を言ったので、冬子と葵は口論になった。依子は葵と夫の関係を知っていながら、彼に何も言えずにいた。依子は夫を安心させることはできるが、物書きの苦しみや歓びが解っていなかったようだと葵は言った。そして、自分は二年前から彼のゴーストライターをしていたのだと告白した。依子と冬子はここへ導く言葉が葵のものだったということに大きなショックを受けた。冬子は遺灰を持って帰りお墓へ埋めましょうと言うが、冬子は心を乱し、この人は私のものなのだと叫ぶばかりだった。
 そこへ大学生の奈緒が現れた。奈緒は男のファンで、やはり本の言葉に導かれてここへやって来たのだった。雑誌やテレビで彼のそばにいた冬子や葵の存在も知っていた。そして、自分の大学の講演会へ来た時に彼と関係を持ったのだと言うと、その時彼の子を妊娠したと衝撃の告白をした。すぐに中絶しようとしたが、男が亡くなったことを知るとどうすることもできなかったのだった。
 男は次々女と関係を持つうち、一晩に何度も求めてくる彼女たちに疲れ果てていた。ある日帰宅すると、依子が出刃包丁を突き出して立っていた。だがそれは男の幻覚だった。彼は正気に戻るとへたり込んだ。男はまるで女たちの性欲に殺されたかのようだった。奈緒はお腹の子と一緒に死ねばいいのかと言った。依子はその子は自分が育てると答えた。そして、ここにいる皆がセイレーンの末裔なのだと、骨壺を開け、全員で海に向かって遺灰を撒いた。泣きながら灰を海に流す女たちの中で、依子だけが心から愉しそうであった。
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