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仙吉……国分 二郎
市子……北乃 魔子
石原……神原 明彦
みよ……桜  マミ
タマ……川口 朱里
タエ子…胡  美麗
亀吉……滝沢 秋弘
かね……有沢 正美
マキ……サロメ角田
岩上……吉岡 一郎
森山……市村 譲二
シゲ……光岡 一夫
五十嵐…城   浩
甚造……三重街 竜

監督……向井  寛
脚本……宗   豊
撮影……鈴木 志郎
照明……守田 芳彦
編集……中山  治

宗豊のシナリオに向井寛が渾身の演出で取り組んだ異常な情痴の世界である。

 仙吉は日本一の織師といわれていた。彼が縄で女の肌を縛りあげると、どの女も異常な快感に耐えられず悶絶した。マキもそうだった。求められるままに股間を締め上げた繩の端を首へ回すと、マキは歓喜の声をあげながらケイレンし、そのまま動かなくなった。それ以来、仙吉はプッツリと繩を捨てて放浪の旅へ出た。そして落着いたのはある地方都市の女郎屋「ききょう屋」だった。彼はここの用心棒になったのである。
 仙吉は海岸でじっと沖を見つめている美しい女性にふと心をひかれた。亀言という男の話では女は市子といい、この地方に隠然たる勢力をもっている石原の愛人だということだった。貧農の息子から腕一本でのしあがった石原は名家の令嬢だった市子を豪邸に囲い、彼女を繩で縛って責めながら嗜虐の悦びに浸っているという。  その頃、玉ころがしの秋山が田舎娘のタエ子をききょう屋へ売り込みに来た。主人の甚造と内儀のかねはタエ子が生娘であることを確かめると漁色家の石原に水揚げを頼んだ。石原は大金を払って彼女を荒々しく犯したが、それだけでは満足せず繩師を使って責め立てようと考えた。甚造は早速手を回して繩師を探し、その道では五本の指に数えられるという岩上という男を連れて来た。
 岩上は泣き崩れるタエ子の着物を剥ぎとると繩で荒々しく縛りあげた。廊下でその様子を見ていた仙吉は我慢できなくなって一礼して部屋へ入り、岩上の手許をじっと見つめた。岩上は仙吉の姿に気がつくと顔に脂汗を浮かべ、繩を投げだすと繩師の名人と言われる彼の前に平伏してしまった。数日して仙吉は石原の妾宅へ呼ばれ、タエ子を使って縛りの妙技を見せてくれと頼まれた。一度は断わったが市子が見たいと言っていると聞くと出された繩に手をのばした。 裸のタエ子は股間を結び目のついた繩で締めあげられるとうめきながらのけぞった。傍らで見ていた市子も自分が責められているように身悶えしてあえいだ。石原はそれをじっと見ていた。仙言も目をかがやかせて縛りの秘技に没頭した。
 妾宅の婆やしげに呼ばれた仙吉は海岸の漁師小屋に行ってみた。薄暗い小屋の中で待っていたのは意外にも市子だった。 彼女は金を払うから縛って責めて欲しいと恥じらいながら哀願した。仙吉はうれしかった。しかし、彼女を縛れば彼も一緒に地獄の悦びにのめりこんでしまいそうなので苦しさをこらえて断わってしまった。だが、それ以来仙吉の頭からは市子の姿が消えなかった。ある夜、浜へ出た彼はひきつけられるように漁師小屋へ近づいた。すると暗闇の中から人影が現われた。市子だった。じっと顔を見つめ合っていた二人はそのまま小屋の中へ入っていった。市子は壁にさがっているロープを取って差し出した。だが仙吉には縛れなかった。縛れば市子を殺すまで責め立ててしまう。そう思うとロープを手にすることは出来なかった。二人は抱き合い、愛撫して激しい行為を繰返したが、果てると仙吉は逃げるように小屋を立ち去った。その様子を石原の部下である五十嵐が見ていたのには気がつかなかった。
 五十嵐から二人のことを知らされて激怒した石原が部下たちを集めていることを聞いた仙吉は浜へ走って市子と会い、手をとりあってこの町から脱走した。 バスに乗り、列車に乗り継ぎ、そして山間の小駅で降りると当てもなく歩いた。どこかからか祭り囃子が聞こえてきた。 やがて、海辺へでた。彼が荒かった。石原が全国のやくざに顔がきくことを思うと、どこにも逃げのびる道はないように思えた。市子は仙吉の顔をじっと見つめながら「縛って」とつぶやいた。仙吉も意を決して浜辺に引きあげられていた舟から繩を捨ってくると、裸になった市子の肌に繩をかけた。仙吉にとって、これは一世一代の繩師の秘術だった。繩が肌に食いこむ。市子は恍惚の笑みを浮かべて仙言と唇を合わせた。繩は全身を縛り、そして首を締めた。
――俺も、後からすぐ行く……。
笑ったまま顔を落とした市子を仙吉はいとしそうに抱きしめていた。
波の音とともに祭り囃子が流れていた――。
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