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宮下俊夫………岡 田 智 宏
高柳光枝………佐々木 麻由子
宮下美紀………里 見 瑤 子
高柳啓一………中 村 方 隆
佐伯信子………美 月 ゆう子
岡本浩史………なかみつせいじ
宿の主人………池 島 ゆたか

監 督……福 原   彰
企 画……福 俵   満
プロデューサー…深町 章
脚 本……福 原   彰
撮影・照明……清水 正二
編 集……酒 井 正 次
音 楽……大 場 一 魅
録 音……シネ・キャビン
助監督……佐 籐   吏
スチール…津 田 一 郎

 小説家の俊夫は年上の人妻光枝と温泉へ旅行へ出かけ、旅館で情事に溺れるが、その夜、光枝の小学生の娘が交通事故で死んだという報せが入る。それを機にふたりは別れた。そして十年後。小説に行き詰まった俊夫は妻の美紀に愛想を尽かされ、再びあの旅館を訪れるが、偶然にもそこで光枝と再会し……。
これは十年の時を経て再会した男女の情痴の世界を本作が初監督となる福原彰が濃密なタッチで描き出したエロス作。佐々木麻由子、里見瑤子、美月ゆう子らベテラン熟女女優たちのリアルなセックスシーンがたっぷりと堪能できる一編だ。


 一九九五年。小説家志望の俊夫は人妻との逢引を楽しんでいた。その日も年上の信子とホテルで濃厚に愛しあった。
 俊夫はもう一人の人妻光枝と海岸近くの温泉旅館へ出かけた。光枝は家には学生時代の親友との旅行だと嘘をついて出かけていた。海岸の絶壁の上に立つと、遠くの磯の上で争っている奇妙なカップルの姿があった。その姿はどこか物悲しく、滑稽でもあった。俊夫は小説に行き詰まっていると愚痴をこぼした。ふたりは旅館で愛しあった。
 その夜。光枝は俊夫との関係に気づいた夫が離婚を申し出たことを話した。彼女は離婚して娘を引き取り、群馬の実家に戻るつもりだったが、今度娘に会ってみないかと俊夫に持ちかけた。しかし俊夫が冷たく拒絶したので深く傷ついた。俊夫はさらに、今までに自分以外に浮気の相手がいたかどうかを意地悪く尋ねた。そして答えようとしない光枝の両手首を浴衣の紐で縛った。意外なことに光枝は「もっと縛って」と懇願した。俊夫は光枝の口と両手足を縛り、そのまま激しく交わった。俊夫が果てた瞬間、部屋の電話が鳴った。相手は光枝の夫で、八歳になる二人の娘が事故でトラックの車輪にまきこまれて死んだことを彼女に告げた。
 二〇〇七年。俊夫は年下のOL美紀と結婚していた。美紀に男がいることを知った俊夫は思わず彼女に暴力をふるった。目の周囲に痣ができた美紀は会社を休み、ホテルで上司の浩史に抱かれた。妻子がある浩史はお互い余計な傷を負わずに関係を続けていきたいと言った。美紀は答えなかった。帰宅した美紀は浩史と別れたことを俊夫に告げた。そしてしばらく一人になりたいから旅行にでも行ってくればと俊夫を促した。いつまでも定職につかず小説も書けないでいる俊夫との生活に美紀は不安を感じていた。彼女の実家に借金もしていた。
 東京を離れた俊夫がたどり着いたのはかつて光枝との不倫旅行で訪れた旅館だった。そこで俊夫は一組の中年夫婦とすれ違い、思わず足を止めた。相手の妻の方も振り返った。光枝だった。ふたりは呆然と見つめあった。
 その夜、寝つけない光枝は啓一を誘って風呂に行こうとしたが、彼が眠っているようなのでひとりで部屋を出た。浴場へ足を踏み入れようとすると湯船には先に俊夫が入っていた。光枝はためらいながらも俊夫の隣に入った。俊夫は五年前に結婚したことを話し、光枝はあの事故のあと夫の啓一とともに実家へ戻り農業をしていることを話した。やがて俊夫はここへは死ぬつもりで来たことを告白した。しかし光枝の顔を見たら急に死ぬのが嫌になったと言い。光枝の体に手を伸ばした。光枝は拒み、かつて俊夫との情事の最中に娘を失い、頭がおかしくなるまで自分を責め続けたことを話し、そんな自分を見捨てることのなかった啓一を裏切る事はできないと言った。俊夫は更に強引に迫った。光枝は自分勝手な俊夫を責めながらも再び彼を受け入れた。やがて光枝が部屋にいないことに気づいた啓一が脱衣室に現れた。そして浴室内での妻の情事を知り、愕然とした。事後、俊夫と光枝が浴場を出るとロビーの階段に啓一が座っていた。二人はその場に凍りついた。啓一は光枝が俊夫の写真をずっと隠し持っていたことを知っていた。そしてやっと掴んだささやかな幸せを誰にも邪魔されたくはない、一晩眠ってすべては夢だったことにすると二人に話した。その瞬間、光枝は狂ったような悲鳴をあげてその場にくず折れた。俊夫はただ呆然とするばかりだった。啓一は光枝を連れて部屋へ戻っていった。
 翌朝。俊夫はホテルを出ようとする啓一と光枝に話しかけようとした。しかし言葉は出てこなかった。二人が乗った車は走り去った。俊夫は絶壁の上に佇み、小説を書きながら仕事を探すからもう一度チャンスを欲しいと美紀の留守電にメッセージを入れた。電話を切ると、遠くの磯の上に十年前と同じあの奇妙なカップルが争う姿が見えた。俊夫は歩き出した。



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