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野沢亜紀子……里 見 瑤 子
佐伯悦子………水 原 香菜恵
江藤倫子………藍 山 みなみ
野沢俊介………平 川 直 大
佐伯恭司………なかみつせいじ
沼田……………牧 村 耕 次

監 督……深 町   章
企 画……福 俵   満
脚 本……深 町   章
撮 影……清 水 正 二
編 集……酒 井 正 次
録 音……シネ・キャビン
助監督……佐 藤   吏
現 像……東映ラボテック

人妻の亜紀子はある頃から突然電話のベルの恐怖に異様に脅えるようになる。夫の野沢はその狂気じみた様子を見て佐伯という精神科医師の診療所へ連れて行く。佐伯の催眠療法によって亜紀子は徐々に真相を語りはじめる。それは野沢の会社の取引相手である沼田という男との思わぬ再会からはじまった悲劇だった。やがて亜紀子の秘められた過去が明らかになるが……。
これはベテラン深町章監督が人妻の異常な体験を濃密なエロスたっぷりに描きだしたサスペンス・タッチの煽情篇だ。ベテラン女優里見瑤子、水原香菜恵に加え、フレッシュアイドルの藍山みなみら人気女優が競演している。
養護老人施設「松風苑」。亜紀子と悦子という二人の年老いた女が車椅子に乗って庭園にいた。四十年前、ふたりは女医とその患者という立場で運命の再会を果たしたのだった。以来、それぞれの夫を亡くして未亡人になった今も、こうして共に生活をしているのだった。悦子はふと「あの時、私は鬼にされた」と謎めいたことを言い、うっすらと微笑んだ。
四十年前。佐伯精神科医のカウンセリングルームに亜紀子はいた。リクライニングシートに座る亜紀子は催眠状態になり、佐伯に導かれるように質問に答えた。佐伯が電話のベルを鳴らすと、亜紀子は突然恐怖に駆られて絶叫し、部屋の隅でブルブルと震えた。佐伯が近づくと亜紀子は激しく暴れた。佐伯の妻でその助手を務めていた悦子は亜紀子の変わり果てた姿を見て心を痛めた。
亜紀子の夫の野沢が彼女の異変に気づいたのは三ヶ月前のことだった。ある夜、野沢が電話に出ると亜紀子が彼を押しのけるように受話器を奪い、電話を切ってしまった。野沢は亜紀子の様子を不審に思って問いただしたが、亜紀子は電話の話などしたくないと言い、何かを忘れようとするかのようにいつになく大胆に野沢を求めたのだった。
その後、亜紀子の様子は更におかしくなり、部屋で明かりもつけずひとり放心したように過ごしたり、セックスも拒んだりするようになった。そんなある夜、再び電話のベルが鳴り野沢が受話器を取ろうとすると、亜紀子が狂ったように包丁を手にして電話のコードを切断したのだった。
診療所で佐伯は亜紀子の様子がおかしくなった頃、何か変わったことはなかったかと野沢に訊ねた。亜紀子と洋服を買いに出かけた日、ふたりは野沢の取引先の沼田という男と出会った。だが挨拶しただけで別れ、特に変わったことはなかった。 一方、野沢は部下の倫子と不倫を続けていた。野沢は例の電話が倫子の仕業と思ったが、倫子は涙ながらに否定し、「素敵な不倫だった」と涙ながらに別れを告げた。
佐伯の妻であり助手の悦子は亜紀子を優しく介抱した。電話のベルが鳴ると亜紀子はまた恐怖に震えた。佐伯は誘導尋問のように亜紀子から意外な真相を聞き出した。沼田が野沢の留守中に家に現れ、何度も亜紀子を犯したというのだ。しかも亜紀子が沼田の言いなりになるしかなかったのは、沼田が彼女のある過去を知っているからだったという。その過去を追及するとは亜紀子と野沢の夫婦関係を壊してしまうかもしれない――悦子は野沢に知られずに事件を解決したいと願った。
佐伯はとうとう亜紀子から真実を聞き出した。亜紀子が十九歳の時、父親の経営する会社が潰れ、その借金を返済するため、当時「トルコ風呂」と呼ばれていたソープランドへ働きに出た。沼田はその常連客だったのだ。偶然街で再会した沼田は亜紀子の家に電話をかけ、抱かせなければ野沢にすべてを話すと脅した。一度だけの約束だったが、沼田はその後も何度も亜紀子に電話し、家に押しかけて関係を強要したのだった。野沢との幸せな関係を壊したくないがために亜紀子は耐えた。告白を終えた亜紀子の瞳には涙があふれていた。佐伯はこの話は野沢にはしないので、また電話がかかってきたらここへ相談に来て欲しいと告げた。亜紀子は退院した。そしてしばらく後、沼田が殺されたとテレビのニュースが伝えた。
鬼になった――それは、沼田殺しの犯人が悦子だという告白だった。かつて悦子と亜紀子は同じ風俗店で働く同僚だった。もし沼田が自分と会えば、今度は亜紀子と同じように自分も脅されて関係を強要してくるだろう。それを拒めば、自分と佐伯の関係が壊される……悦子はどんなことをしても佐伯との幸せを守りたかったのだ。「松風苑」の庭で年老いた亜紀子と悦子は見つめあい、寂しげに微笑んだ。

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