園辺亜門………伊　籐　　　猛
古賀美佐子……佐々木　麻由子
古賀英男………小　林　節　彦
小野明美………佐々木　基　子
宮前晶子………工　籐　翔　子
桐山玄太………坂　田　雅　彦


監　督……橋　口　卓　明
企画・脚本…福　俵　　満
撮　影……中　尾　正　人
編　集……酒　井　正　次
録　音……シネ・キャビン
助監督……菅　沼　　　隆
現　像……東映ラボテック
スチール…津　田　一　朗

　　

浮気調査専門の私立探偵亜門は古賀という男から、家政婦をしている妻の美佐子の素行調査を依頼される。美佐子は雇い主の桐山との情事に溺れていることがわかる。亜門は古賀に報告するが、実は美佐子の不倫は離婚を有利にすすめるために古賀が仕組んだものだった。やがて事件は意外な展開を…しがない私立探偵と夫の策略にはまった人妻をめぐる物語で、痴情と愛欲が絡み合うハードボイルドタッチのエロス作。

園辺亜門は浮気調査専門の私立探偵。彼には晶子という恋人がいるが、仕事にかまけてばかりいるので彼女は不満気味だ。セックスが終ると晶子は別れ話を切り出した。うろたえる亜門のもとに新たな仕事の話が舞い込んだ。

依頼主の古賀は家政婦をしている妻美佐子が浮気しているのではないかと疑っていた。亜門はさっそく調査を開始し、美佐子が働く桐山という男の家を訪れると新聞勧誘員を装って家のトイレを借り、隙を見て居間に盗聴器を仕掛けた。

桐山の家の近くにとめた車の中から亜門は様子をさぐった。家の中では帰宅した桐山が美佐子の股間に手を伸ばした。美佐子は最初は拒絶していたが、やがて誘惑に負けて桐山に身をまかせた。桐山は美佐子を抱きながら「ご主人を忘れて僕のものになって下さい」とイロ男っぽく懇願した。

亜門は録音した情事のテープを古賀に聞かせた。古賀は男泣きを始めたが、やがてそれは突然けたたましい笑い声に変わった。亜門は彼の態度の変化に不審なものを感じ、隙を見て彼の鞄に盗聴器を仕掛けた。亜門と別れた古賀は小野明美という女が経営する会社の豪華な社長室で彼女と交わった。そして自宅へ帰ると彼は何者かに金持ちの女ともうじき結婚するので借金を返済できると電話で話した。

その夜、古賀は亜門から受け取ったテープを美佐子に間かせ、離婚届けに判を押すよう冷たく言い放った。美佐子は何も弁解せず、心の痛みに耐えるように荷物をまとめた。翌日。亜門は桐山家で美佐子を待っていた。やって来た美佐子は驚いた。桐山の姿はなく、家の中はいつのまにか空家同然となっていた。実は桐山は「別れさせ屋」という職業の男で、全ては美佐子と別れるために古賀が仕組んだことだと亜門は説明し、昨日の古賀の電話の録音テープを間かせた。亜門はその夜美佐子が離婚届けに判を押す為に古賀と会うことになっているのを知り、同席しようかと甲し出たが、美佐子は断り、立ち去った。復讐心に燃えた美佐子は明美に会い、亜門から受け取ったテープを彼女に間かせた。明美の表情が険しく変わった。その夜、明美は古賀のマンションを訪ね、士下座して謝る彼を冷酷に見下した。その手にはゴルフのパターのクラブが握られていた。気になった亜門が約束の時問に古賀のマンションを訪れると美佐子が蒼ざめた表情で顔を出した。部屋の中では古賀が頭から血を流して死んでいた。美佐子は泣きながら亜門に抱きついた。亜門は震える美佐子を優しく抱きしめた。

翌日、凶器のゴルフクラブから指紋が検出されたことで明美 が逮捕された。ワイドショーや週刊誌の記者が美佐子を追いかけたので亜門は美佐子を自宅のマンションに匿った。しばしのためらいの後、二人は肉体関係を結んだ。

数ヶ月後がたった。ある日亜門と美佐子は海辺に出かけ、そこでも人目を忍んで愛し合った。美佐子は唐突に、自分が古賀を殺したのだと告白した。あの日、美佐子がマンションを訪れると、エレベーターの近くで明美の姿を見たので美佐子は身を隠した。自宅へ戻ると逆上した古賀が美佐子に掴みかかった。美佐子は隙を見てそばにあったゴルフクラブを古賀の頭に振り下ろした。自分の指紋が残らないようハンカチで柄を覆って…。その時はまさかそこに明美の指紋がついているとは思わなかった。美佐子が告白を終えると亜門は「俺が余計なことをしたばかりに…」と後悔の涙を流した。美佐子はいとおしげに亜門を抱きしめた。亜門は眠りに落ちた。しぱらくして目を覚ますと美佐子の姿はもうなかった。

数日後、全てを告白した美佐子の手紙と犯行に使った血痕のついたハンカチが警察に届いた。明美は釈放され、警察は美佐子の行方を追ったが、消息は不明だった。亜門は美佐子の重い記憶を胸に抱えながら、また新たな仕事の依頼を受けた。そのそばには晶子がいた。