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水上ハル……里 見 瑤 子
水上サキ……水 原 かなえ
老婆…………水 原 かなえ
加藤しおり…浅 倉   麗
石川善幸……岡 田 智 宏
石川信一……岡 田 智 宏
出口和男…かわさきひろゆき

監 督………深 町   章
企 画………福 俵   満
脚 本………川 崎 りぼん
撮 影………清 水 正 二
編 集………酒 井 正 次
助監督………佐 藤   吏
録 音………シネ・キャビン
現 像………東 映 化 学
スチール……津 田 一 郎
現 像……東映ラボテック

戦時中に巻き起こった美人姉妹の悲劇的な愛欲が現代に蘇る悲しく切ないファンタジック・エロス。女流脚本家川崎りぼんが舞台劇をピンク映画にアレンジ。里見瑤子、水原かなえ、浅倉麗が共演。
 石川義幸は祖父の葬式へ向かう途中、山道で車がエンストを起こし、仕方なく近くの旅館で一夜を明かすことにした。古い建物のその旅館は、老婆が妹と二人で経営しているというが、妹の姿はなかった。老婆は離れにある蔵には絶対に行ってはいけないと釘をさした。隣の部屋では、東京から駆け落ちしてきた出口としおりのカップルがセックスを楽しんでいた。
 その夜、風呂に入った義幸は、隣の女風呂で信一という男の名を呼びながらオナニーに耽るハルの姿に見とれ、足を滑らせてしまった。彼は信一というのが死んだ祖父と同じ名前であることが気になった。そして、今度は遠くの蔵の前にハルが現れ、信一の名を呟きながら、悲しそうに蔵に消えた。追い掛けようとした義幸を老婆が呼び止めた。
 義幸は蔵のことが気になり、意を決して見に行くことにした。蔵の中では肺炎を患うハルが咳込みながら涙を流していた。彼女は義幸を信一と間違えた。戦争に行った彼女の恋人信一は、きっと帰ってくると、この蔵で会う約束をしたのだった。約束を交わした二人が体を重ねたその姿を姉のサキが覗いていたと話した。義幸が奥の部屋に行こうとすると、ハルはそれを制し、雷の音と共に突然姿を消した。
 奥の部屋ではサキが化粧をしていた。サキも義幸を信一と間違えた。義幸が信一は何者なのかと問うと、義幸に瓜二つの信一が現れた。サキは信一の体にむさぼりつき、二人は絡み合った。義幸は今が戦時中の昭和18年だと知り、混乱した。
 部屋の外に出ると、今度はハルが二人の痴態を覗いていた。彼女は義幸を見て逃げ出した。義幸は彼女を追い掛け、ここはどこなんだと尋ねた。ハルは彼が信一だと思い込み、抱いて欲しいと懇願した。義幸は自分は信一ではないと、彼女の目を覚まさせるように頬を張った。正気を取り戻したハルは「私はあなたを待っていました。こんな私でよかったら抱いて下さい」と言った。義幸はハルを抱きしめた。

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