眼球移植手術を受けたゆかりは生まれて初めて視力をもった。だが、それ以来見知らぬ女がレイプされて殺される幻覚を見るようになった。実はそれは移植前の眼球の持ち主の記憶で…。
　近い将来実現するかもしれない眼球移植を題材に、連続レイプ殺人に巻き込まれた女の恐怖を描くエロティック・スリラー。河村栞、山咲小春、池谷紗恵ら人気女優たちが共演している。

　冬子は初めての結婚記念日の帰宅途中に克己という男にレイプされ殺された。夫の健太は携帯で助けを求める電話を受けるが、その向こうからは犯人の不気味な声が聞こえるだけだった。
　ゆかりは生まれつきの盲目だったが、彼女の恋人の信也は献身的に彼女に尽くしていた。ゆかりは眼球移植を受け、手術は見事成功し、一週間後包帯を外したゆかりは最初に信也の顔を見て喜びの余り涙を流した。その夜、二人は愛しあった。ゆかりは信也の体の隅々を見つめ、丹念に彼を愛撫した。
　翌日。ゆかりと信也は休日の町へ出た。ゆかりは目に映る一つ一つのものに感動を覚えた。その帰り道、ゆかりは初めて来たはずのその道を以前通ったことがあり、さらに字もまだ読めないのに「白百合荘」というアパートにも見覚えがあると話した。その後、ゆかりは突然意識を失い、何者かに襲われる女の夢を見た。それは克己にレイプされる冬子の姿だった。目覚めたゆかりは自分の顔が夢の冬子に変わったような錯覚を見た。

ゆかりは眼科で検査を受け、自分の眼のドナーはどんな人だったのかと尋ねた。だが、医師の草野はアイバンクの登録者に関することは規則で教えられないと言った。その帰り道、ゆかりは白百合荘を訪ね、郵便受けに冬子の名を見つけた。その後、冬子が殺された現場近くでまた事件の幻覚を見た。気づくと花と線香を抱えた健太が立っていた。ゆかりは無意識に健太の名を呼び、自分が恐くなりその場を去った。その後、ゆかりは偶然克己とぶつかるが、彼が夢の男だとは気づく由もなかった。 　その夜、また夢にうなされたゆかりは、自分のドナーがどんな人だったか調べる決意をした。再び冬子の殺害現場を訪ねた彼女は健太と再会した。彼は冬子が連続レイプ殺人事件の被害者だったと話した。冬子はやはりアイバンクに登録しており、健太の持っていた写真の彼女は間違いなく夢の女だった。話を聞いた健太は犯人を捕まえたいので協力して欲しいと頼んだ。 　それ以来、ゆかりがデートをキャンセルするようになったので信也は不審に思った。ある日、彼が帰宅すると健太が訪ねてきていた。ゆかりは事情を説明するが、信也は冷たい態度をとった。健太は気まずくなり家を出た。ゆかりは目が見えるようになった今、人の役に立ちたいのだと言った。 　信也の健太への不審は募るばかりだった。そんな中、彼は同僚のＯＬ彩花に迫られ、二人だけのオフィスで交わった。会社を訪ねてきたゆかりは手を繋いで歩く二人の姿を目撃し、ショックを受けた。 　傷心のゆかりが部屋に戻ると、侵入していた克己が彼女を襲った。ゆかりは室内の電球を次々と割り、暗闇の中で耳を潜めて隙を伺った。そして階段を上がる克己の足を捕えた。克己は階段から転げ落ちて頭を打ち失神した。 　克己は逮捕され、ゆかりは冬子の幻覚は見なくなった。健太はゆかりに感謝を述べた。その時、奇妙な白昼夢が健太を襲った。ゆかりは冬子に変身し、健太は彼女を抱きしめ、二人は熱く愛しあった。だが、我に返ると冬子はゆかりに戻っていた。ゆかりが健太を見送ると、そこに信也が待っていた。彼の顔に微笑が浮かび、二人は見つめ合った。

監　督………深　町　　　章 企　画………福　俵　　　満 脚　本………岡　　　輝　男 撮　影………清　水　正　二 照　明………小　川　　　満 編　集………酒　井　正　次 録　音………シネ・キャビン 助監督………佐　藤　　　吏 現　像………東　映　化　学

森尾ゆかり…河　村　　　栞 木下冬子……山　咲　小　春 林　彩花……池　谷　紗　恵子 枝川信也……平　川　直　大 木下健也……岡　田　智　宏 花沢克己……今　野　元　志 草野和彦……丘　　　尚　輝