税理士の尚彦は得意先で美しいＯＬ美咲に目を奪われた。恋人に裏切られた尚彦は美咲に誘われて奇妙な「ひと月だけの恋」を楽しむことにするが、じつは美咲にはある秘密が…。
　難病におかされたあるＯＬの激しくも切ない恋愛模様を淫靡かつ大胆に描いた注目作。九九年のデビュー以来ピンク映画のトップ女優として活躍し多くのファンを魅了してきた佐々木麻由子。その魅力と色香をベテラン池島ゆたか監督が余す所なくスクリーンに焼き付けた、とびきりの大人のセクシーロマンだ。

　尚彦は大学の先輩の功一と共に税理事務所を経営しているが、どちらかといえば内気で営業は苦手なほうだった。彼はある日得意先でバリバリと仕事をこなす美人ＯＬの美咲に目を奪われた。一年前には地味で仕事も出来ない冴えない印象だったが、その変身振りに驚かされた。
　仕事を終えた尚彦は恋人の怜子の部屋を訪ねたが彼女は自称ミュージシャンのヒロシとベッドにいた。茫然と立ち尽くす尚彦に怜子は尚彦が仕事で構ってくれないからだと泣いて訴えた。
　美咲は会社の倉庫で取引先の西村とセックスした。彼とは一ヶ月だけ付き合うという約束で、その日が最後の日だった。引き続き関係を迫る西村に美咲は冷たく別れを告げた。
　その夜、スナックでヤケ酒を呷る尚彦の前に現れたホステスはなんと美咲だった。彼女は尚彦の失恋を察し、私が慰めてあげると彼を誘った。酒に酔った二人は美咲のマンションで結ばれた。美咲は「今月はあなたに決めた。一ヶ月だけ付き合いましょう」と言った。尚彦にはその言葉の意味がわからなかった。
　翌朝。美咲の友人であるゲイのミチヲがやって来た。二人の話で美咲が一ヶ月ごとに恋人を変えていることを知った尚彦は気分を害して部屋を出た。美咲は彼を追いかけると恋のピュアな部分を味わうためにはそれが一番いい、それに自分は尚彦のことを変えてあげられると涙ぐんで話した。そんな美咲の姿に打たれて尚彦は彼女と付きあうことにした。

尚彦は美咲の部屋に衣類を運び、二人の同棲生活が始まった。 　美咲の言葉どおり、彼女と暮らすうちに尚彦は変わっていった。その積極的な変貌ぶりが共同経営者の功一にもうれしい驚きだった。彼と婚約者の百合枝の愛も益々深まったようだった。 　やがて残された時間は一週間になった。尚彦は美咲にプロポーズしたが、美咲は結婚は出来ないと言いはった。口論となって美咲が尚彦を追い出そうとしたその時、美咲は突然嘔吐して倒れた。美咲は病院へ運ばれ、付き添っていたミチヲは尚彦に真実を語った。美咲は半年前に不治の病を宣告され、それまでの自分を一変させるように仕事と恋に生き、一ヶ月だけの恋愛を繰り返したのだった。だが尚彦への愛は本物だった。意識を取り戻した美咲は、このまま死んでいく姿は見せたくないと、尚彦に感謝しながらも別れを告げた。 　尚彦の前に怜子が現れた。もう一度やり直したいと言ったが、尚彦は大切な人が今はいるからと別れを告げた。その後尚彦は病院から帰った美咲を訪ね、彼女の眠る間に部屋じゅうに２月のカレンダーを貼り「２月は終らない。ずっと一緒だ」と彼女を抱きしめた。二人は熱く燃えあがった。夜があけて美咲はホスピスで孤独に人生の最期を迎えるため尚彦に黙って家を出た。気づいた尚彦は彼女を追った。「あなたには明るくて強い私だけを覚えていて欲しい」美咲はそう言うと尚彦に目隠しをした。そして自分が消えさるまで外さないでいてほしいと頼み、立ち去ろうとした。尚彦は目隠しのまま必死で美咲を追い、彼女を捕まえると固く抱きしめた。美咲は号泣した。 　三週間後。美咲の葬儀を終えた尚彦の姿が公園にあった。彼は彼女が好きだったブランコをひたすらこぎつづけた。

監　督………池　島　ゆたか 企　画………福　俵　　　満 脚　本………五　代　暁　子 音　楽………大　場　一　魅 編　集………酒　井　正　次 録　音………シネ・キャビン 助監督………佐　藤　　　吏 現　像………東　映　化　学

野村美咲……佐々木　麻由子 怜子…………河　村　　　栞 由里枝………水　原　かなえ 神林尚彦……川　瀬　陽　太 中里功一……竹　本　泰　史 西村…………樹　　　か　ず ヒロシ………入　江　浩　治 ミチヲ………なかみつせいじ