康司が一匹の金魚を買ってきた。些細なことで彼と喧嘩した妻の恵美は家を飛び出してしまう。そんな川中家に自称ホームヘルパーの出海がやって来た。彼女のおかげで壊れかけた家族の絆は回復するかに見えたが…。
謎めいた美人家政婦とある一家の交流を描いたファンタジー・エロス。里見瑤子、河村栞、佐々木麻由子ら人気女優たちが競演。女流脚本家川崎りぼんのデビュー作をベテラン深町章が濃厚に演出したお楽しみ篇。

　平凡なサラリーマン川中康司は性的不能に悩まされ、妻の恵美との関係は冷え切っていた。娘の夕希子は浪人中で家庭教師の晃と肉体関係を続けている。
　ある日、康司は季節外れで売れ残った一匹の金魚を買って帰った。金魚を見ている康司を見て恵美は溜息をついた。彼女が体を求めても康司はその気にならないからと拒んだ。
翌朝。家族を送り出した恵美はテーブルのマヨネーズでオナニーに耽った。そして急に金魚が恨めしくなり、金魚鉢にマヨネーズを絞り出した。忘れ物を取りに帰った康司はそれを見て恵美の頬を殴った。恵美は金魚を流しに流し、家を飛び出した。康司は慌てて金魚を助けた。 帰宅した夕希子は父を責めた。そんな中、川中家に出海と名乗る若い女が訪ねて来、ホームヘルパー件家庭教師として派遣されたと挨拶して家に上がりこんだ。夕希子は母の気遣いだろうと思った。康司がふと金魚鉢を見ると金魚がいなくなっていた。出海は夕食の支度を終えると、なぜか水風呂に入り気持ち良さそうに鼻歌を歌った。
その夜、康司の前に裸の出海が現れ、不能になった彼のイチモツにむしゃぶりついた。康司は見事勃起し、二人はそのまま激しく絡み合った。 翌日。出海は夕希子の勉強を見てやろうとするが、夕希子は言う事を聞かなかった。彼女は他に何かやりたいことがあるのではと出海は話し、「私の夢はあなたと一緒にいられる事」と康司の手を取った。康司は我慢できず、彼女にむさぼりついた。

川中家を訪れた晃は、夕希子の部屋にあったコンドームを見せられ康司にクビを言い渡されると慌てて家を出た。家の前には恵美がいた。二人はホテルで体を重ねた。久しぶりのセックスに恵美は満足した。だが晃が夕希子とも関係を持っていたことを聞き、彼を思い切り殴った。一方、川中家ではレイプされボロボロになった夕希子が帰宅した。出海は風呂場で夕希子の体を優しく洗ってやった。ようやく夕希子も出海に心を開き、仲直りをした三人は楽しそうに夕食を取った。玄関の向こうでそんな彼らの笑い声を聞いた恵美は家に入ることが出来なかった。 翌日。玄関に人の気配を感じた夕希子は母が帰ってきたと思った。出海が様子を見に行くと、走り去る恵美の姿があった。その夜、出海はこの家を出ていかなければならないと康司に話し、泣きながら彼に抱きついた。その時、ナイフを手にした恵美が目の前に佇んだ。恵美は康司が出海を連れ込むために自分に冷たくしたのだと思い込んだ。恵美のナイフは康司をかばおうとした出海に刺さった。恵美は恐ろしさのあまり部屋を飛び出した。夕希子は急いで救急車を呼んだ。出海は「あの日、あなたに助けられなかったら…」と感謝を述べながら息を引き取った。すると、いつしか彼女がいたはずの場所に一匹の金魚が死んでいた。康司は金魚を拾い大声で泣き出した。 康司は淋しそうに金魚の死体を海に流した。振り返ると恵美が康司に駆け寄った。父と母はきっと夢を見ていたのだろう。出海が現れたことで壊れかけていた家族が幸せを取り戻そうとしている。二人の姿を見ながら夕希子はそう思うのだった。

監　督………深　町　　　章 企　画………福　俵　　　満 脚　本………川　崎　りぼん 撮　影………清　水　正　二 編　集………酒　井　正　次 助監督………加　藤　義　一 録　音………シネ・キャビン 現　像………東　映　化　学 スチール……津　田　一　郎

村上出海……里　見　瑤　子 川中夕希子…河　村　　　栞 川中恵美……佐々木　麻由子 川中康司…かわさきひろゆき 吉川晃………入　江　浩　治