老作家・国松は、コギャルとのセックスの最中に死んでしまった。天国の入口で、人生の思い出を一つだけ映像化して天国に持って行けると言われた彼は、過去の女性遍歴を回想し…。
派手な女遊びを繰り返し、妻を泣かせてきた男の好色な性生活を綴った興奮のドラマ。佐々木麻由子、河村栞、時任歩、里見瑤子、水原かなえと、人気の女優たちが勢揃いして艶技を競い合う豪華な一作。

　ラブホテルの一室。老作家の矢作国松は女子高生の美香を抱いた。だが馬乗りになった美香が激しく腰を振ると、国松は突然苦しみそのまま息を引き取った。
　あの世へ行った国松は、賽の河原を渡り天国の門へやって来た。天国の事務員・嶋田は、天国で幸せに暮らすため人生の中で最も大切な思い出を映像化して持っていけるので、三日以内に選ぶようすすめた。女遊びが生き甲斐だった国松は、女たちとの思い出を回想した。
　十八歳になったばかりの国松は、戦争未亡人の和代が男たちに夜這いをかけさせていることを聞きつけ、さっそく和代の家に忍び込んだ。国松が蚊帳の中で眠る和代の下半身に手を伸ばすと、和代は目を覚まし彼のイチモツをフェラチオして股間に導いた。国松はあっという間に果てた。
　しかしその時和代に病気を伝染されたので、国松は別の思い出にすることにした。控え室には借金に苦しみ妻子に逃げられ自殺した片桐がいた。片桐は妻との出来事が一番の思い出だと話した。だが国松にとっては妻・靖江は女遊びの邪魔ばかりする存在で、いい思い出など一つもなかった。

四十歳を越えたある日のこと。国松は編集者の容子と不倫旅行に出かけた。キャリアウーマンの容子も、ベッドの中では淫らな女に変貌した。国松は容子の手足を縛り、バイブで彼女の秘部を責めた。今度は国松が目隠しをして容子と激しく絡み合っていると、そこに靖江が現れた。靖江は包丁を突きつけ、有無を言わせず国松を連れ帰った。 　五十歳の時、国松は体調を崩して自宅療養をした。その時の看護婦・かおるは、国松が愛した雅子に瓜二つだった。かつて工場で働いていた国松は両腕を骨折して入院した。看護婦の雅子は彼の枕元で島崎藤村の詩を読んで聞かせ、田舎から送ってきたというリンゴを彼に差し出した。それ以来、国松は藤村の文学を読みあさり作家を志したのだった。そんな思い出を聞かせると、国松は果たせなかった思いを遂げさしてくれと、かおるの体に手を伸ばし彼女と交合した。 　そんな思い出に浸りながらも、国松は靖江のことが忘れられずにいた。期日はあと一日に迫っていた。一方、片桐は妻にプロポーズした時の思い出を選び、一足早く天国に向かった。 　国松は再び靖江のことを回想した。庭の花を見ながら、靖江は結婚前に国松が彼女に贈った藤村の詩を口にし、そっと国松の手を握った。国松はそんな靖江との思い出を手に、ついに天国に向かった。 　天国の門に新たな死者が訪れた。それはなんと靖江だった。嶋田は彼女の存在に動揺しながらも、思い出を選ぶよういつものように話を始めた。すると靖江は「思い出は決まってます」ときっぱりと答えた。それは国松と庭の花を眺めた日のことだった。国松が出かけた後、突然男が部屋に侵入し靖江の肉体を奪った。その男は、なんと片桐だった。人生に絶望した彼は自棄になってレイプ行為に及んだのだ。だが、靖江にとってはその時のエクスタシーが生涯忘れ得ぬものだった。 　話を聞いた嶋田は苦笑いを浮かべるしかなかった。