谷ナオミといえば、ＳＭの女王としてその名を轟かせた伝説の女優。67年にスクリーン・デビュー。100本以上のピンク映画に出演し、縛りや責めなどハードなセックスシーンで人気を集める。72年、日活ロマンポルノにも進出し、団鬼六原作ものを中心としたＳＭもので一躍脚光を浴びる。その後もロマンポルノ、ピンクと股にかけ、79年の引退まで多くの作品を残した。端整な顔立ちの日本的美人。和服の似合う白い肌に96センチの豊満な肉体が激しく責められ、マゾヒスティックに悶える。その淫靡な姿はまさに“美”の一言。

由紀（谷）が５歳の頃、母・奈美子（谷の二役）が父に惨殺された。20歳に成長した由紀は母が殺された原因を叔父に聞かされた。それは異常なまでの情欲の世界だった…。女を宙吊りにし苦悶する表情を面造りに活かすという能面師による凄惨な緊縛絵図。兄と弟に凌辱される谷の乳房にきつくくいこむ縄の跡が痛々しくも生々しい。


コメディを得意とした山本晋也監督にしては珍しいシリアスもの。男尊女卑の古き時代を舞台にひたすらいたぶられ続ける女たちの悪夢のような世界を描いたオムニバス作。浮気の代償に、秘部に辛子をたっぷりと塗られ、あげくに植木バサミで抉られるなどという思わず目をそむけたくなるほどの猟奇、残虐な責めの数々を堪能できる。