90年11月には赤坂に黒木香をママとした「みるくホール」なるクラブがダイヤモンド映像の経営で始まった。

 そのオープニングのプレスレセプションに筆者は取材にいっており、この日始めて松坂季実子に会った。
 ビデオで見ていると体の大きな女性というイメージがあるが、実際の松坂季実子はコンパクト・グラマーな可愛らしい女性であったのに、まずビックリさせられた。
 「みるくホール」というネーミングから彼女の巨乳とイメージがダブるため、その辺を質問すると。
 「出来る限り、お店に出ようとは思っています」と答えただけだった。
 その場を借りてという意味でもなかったのだろうが、その日はマスコミにAV引退宣言をする日でもあった。
 すでに全てのリリース作の撮影は終了しており、ラサール石井とのデュエットで『二人は一人』というCDシングルのリリースも発表。その後はアイドルをやりたいとコメントしていた。



 それでも、この場で彼女の人柄のよさに触れることができたのは幸いに思っている。

 まだ駆け出しのライターだった筆者は、他誌の手慣れた取材陣に圧倒され、なかなか松坂季実子に話し掛けるタイミングがない。
 数人のカメラマンに撮影された後、その光景を遠巻きに見ていた筆者のところへウーロン茶を持って来てくれたのだ。
 そこで引退作『セクシャルゲーム』について話を聞いた。
 当時、ダイヤモンドの専属監督だった清水大敬監督と初のカラミが売りだった。
 かなり毒々しいカラミで当時からAVギャルに悪評高い清水監督に対しても。
 「でもカメラが回ってないとこでは、けっこういい人なんですよ」と笑いながら答えてくれたのを覚えている。
 「みるくホール」はすぐにポシャリ。松坂季実子がアイドルになるなんてこともなかった。だが、今でも巨乳ギャルを語る時、彼女の名前をなくして語ることはできないのだ。