一人の魅惑的な肉体を持つ女性ではなく、男の欲望や本能の様々な部分を刺激し、愛してくれる、イメージとしての「おんな」の象徴として、彼女はいる。そんな彼女に対して、かつて風俗のアイドルだったとか、離婚歴とか、趣味はスキューバダイビングと衣裳デザインだとか、その他もろもろの、プライベートな情報は、ほとんど何の意味も持たない。そこに彼女がいる。そして、ビデオや映画、CD-ROMなどのメディアを通して、「おんな」を演じる女優としての彼女を見る。僕達にとっては、そこで、彼女が演じる「おんな」こそが、「イヴ」であり「神代弓子」なのだ。
彼女の歴史を検証するのならば、彼女の演じてきた「おんな」を見ることでしか、出来得ない。そして、彼女の魅力もまた、彼女が演じている、という状況で初めて、その輝きを増す。三面記事的な、個人としての彼女にしか興味が無い人は、多分一生気が付かない魅力と輝き。
そう、彼女は、言葉の本当の意味での「女優」なのである。
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