中年万引きカップルの場合

皆様初めまして。 あたくしはこの「山の手犯罪心理研究所」の所長、桜小路カトリーヌと申し ます。あたくしはヨーロッパで犯罪心理学を中心に学んできて、帰国してすぐにこの 研究所を開いたわけですけれども、最近の犯罪心理学はどれも当たり前すぎてつまら ないというのが正直な感想ですわね。そんなあたくしのモットーは、いつ何時でもラバーの下着を身に着けていること。

そうです。先生は真性のラバリストなのです。申し後れました、 私は助手のチェリーです。趣味はグリコのおまけを集めること。先生、今回は第一回という ことですが。

そうね。とりあえず、この事件を分析してみることにいたしましょう。




東北4県のデパートで500件

 東北地方のデパートやスーパーマ ーケットで万引きを繰り返しては盗んだ品物を質入れして生活費に充てていた中年カ ップルが14日までに窃盗の疑いで宮城県警塩釜署に捕まった。
 逮捕されたのは、いずれも住所不定、無職で、本籍宮城県の山本道明(40)と本籍 茨城県の土田安子(38)(共に仮名)の2容疑者。
 調べによると、山本容疑者らは10月18日午前11時50分ごろ、宮城県多賀城市のスー パーで、バッグ2点(1万7000円相当)を万引きした疑い。警備員が2人の犯行に気付 いて取り押さえ、塩釜署員に引き渡した。
 山本容疑者らはパチンコ店で知り合い、93年ごろから仙台市内のビジネスホテルに 滞在。
 これまでに、岩手、宮城、山形、福島の東北の4県のデパートやスーパーで約500件 の万引きを繰り返していたことを自供しており、同署で裏付けを急いでいる。
 2人が万引きしていたのは主としてバッグや衣類で、仙台市内で質入れし、 その金をホテル代などの生活費に充てていた。質入れした品物は、分かっているだけ で約1880点(1570万円相当)に上るという。
(1996年11月16日 東○スポーツ紙より)


あーいやだわ。舞台設定から捕まるところまで、びんぼったらしいっ たらありゃしない。あたくしのいちばん嫌いな演歌の世界を地で行ってるじゃないの 。

先生、ではどうしてこの事件を取り上げる気になったんですか?

そこなのよ。どうしても気になったのが、この「パチンコ店で知り合い」っていうくだりなのよね。パチ ンコ屋で出会うってすごいじゃない?そういうのってありなのかしら。

あんまりないと思うけど、普通に考えたら男が女をナンパしたっ てなりますね。